21世紀の生物多様性研究ワークショップの記事一覧  18 件

今、必要とされている生物多様性観測
21世紀の生物多様性研究ワークショップ(2023年度/通算第18回)

ワークショップの趣旨

21世紀の生物多様性ワークショップ(通称GBIFワークショップ)も18回目となり、今回は、生物多様性観測をテーマにすることにいたしました。生態系の恩恵を持続的に享受できる社会を築くためには、生物多様性の状態を適切に観測することが第一に必要です。その上で、GBIFに代表されるように観測データに関する情報基盤を整備し、データを解析・評価することによって、地域の活動に貢献し、生物多様性の損失を回復に転じさせる「ネイチャーポジティブ」を実現することが求められています。日本の生物多様性観測は、公的な機関だけでなく、個別の研究者、自然愛好者団体、個人など、さまざまな主体によって行われており、観測の持続性の確保や主体間の連携が必要とされています。今回は、さまざまな生物多様性の観測とデータ活用について紹介し、生物多様性観測の継続と発展に向けた議論を行う場にしたいと考えております。

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生物の種名目録を作り共有する
21世紀の生物多様性研究ワークショップ(2022年度/通算第17回)

ワークショップの趣旨

21世紀の生物多様性ワークショップ(通称GBIFワークショップ)も17回目となり、 今回は、生物の種名目録の作成とその共有をテーマにすることにいたしました。 種名目録、すなわちある国や地域から記録された生物種のリストは、 生物多様性を理解するために最も基礎的かつ重要な情報の一つです。 国内の生物の種名は、生物分類学関連の学会や研究者等により、様々な形でまとめられ、 目録として公開化されています。 一方、日本ではこれらを一元的に検索・活用できるような仕組みづくりはこれからという状況です。 そこで今回は、種名目録はどのような研究をもとにどうやって作られどう共有されているのか、 現状から課題や期待まで、それぞれの立場から話題提供をいただき、 GBIFを含めた国際的な種名データベースとの連携も視野に、 日本における種名データ整備の方向性について議論する場にしたいと考えております。

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DNAで探る生物多様性
21世紀の生物多様性研究ワークショップ(2021年度/通算第16回)

ワークショップの趣旨

21世紀の生物多様性ワークショップ(通称GBIFワークショップ)も16回を数え、 今回は生物多様性情報の様々なトピックスから、DNAバーコーディングを始めとする、 生物多様性情報とDNAとの関わりをテーマにすることにしました。 DNAを用いて生物種を特定しようという技術である 「DNAバーコーディング」が提案されて20年以上経過し、 研究での利用も一般化してきました。さらに、次世代シークエンサーなどの技術の進展に伴い、 汲んだ水から生息する魚種を特定するような、環境DNAを用いた解析手法やモニタリング等への活用も進み、 現場からの期待も高まっています。 一方で、種の特定に利用できる国内での網羅的なDNAバーコードライブラリの構築は道半ばという現状もございます。 今回は、DNAバーコーディングに関する現在の様々な進捗、課題や期待についてそれぞれの立場から話題提供をいただき、 GBIFを含めた生物多様性データベースも活用しつつ今後の日本での活動について考える場にしたいと考えております。

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加速するGBIFデータの利活用
21世紀の生物多様性研究ワークショップ(2020年度/通算第15回)

ワークショップの趣旨

今年はCOVID-19の世界的流行によって、生活様式が大幅に変わりました。 対面式の会合が中止・延期となり、さまざまなオンラインツールを利用した会合になりました。 コペンハーゲンにあるGBIF事務局も3ヶ月近くの閉鎖を余儀なくされ、その後もリモートワークを中心とした活動になっています。 しかし、会合のオンライン化は、必ずしもマイナスばかりではありません。 移動が少ない分、いろいろな人を演者に呼べますし、参加も容易です。

この機会を利用し、例年国立科学博物館講堂で開催している本ワークショップも、初めてオンラインで開催することとしました。 そして、内容もGBIFデータの利活用を具体的に示したものにしてみました。 GBIFは、いまや16億件を超えるデータを世界に提供しています。 利用者は、オンラインでこのデータをいつでも利用できます。 本ワークショップでは、このデータを利用して論文の出版にむすびつけた実例を紹介しながら、データの追跡がどのようになされているかを紹介し、さらにGBIFや関連サイトからのデータの利用を考えます。

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自然史標本のデジタル化と活用の最前線
21世紀の生物多様性研究ワークショップ(2019年度/通算第14回)

ワークショップの趣旨

生物標本は生物多様性情報を支える物的証拠として重要です。 今日、情報技術の進歩によって標本の採集情報だけでなく標本のデジタル画像が 高精細かつ立体も含めて提供できるようになってきました。 また、種名の確定した標本画像は様々なWEB上のプラットフォームで配信されており、 蓄積した画像をもとに、AIを活用して種名を画像から自動判別することも出来つつあります。 デジタル技術の躍進は、生物標本の新しい利用の可能性を広げます。 たとえば、高精細な画像の提供は標本の貸し借りに伴う破損のリスクを低減します。 3Dデータの取得は、正確な複製の製造、拡大した学習教材の製作や、非破壊的な検討を可能にします。 また、得られたデータが他の分野と連携されることによって、新しい生物標本の活用の範囲が広がります。 今回のワークショップでは、標本のデジタル化によってもたらされる新展開に関係した話題をもとに、 デジタル化技術を活用した標本の高度活用の展望について、参加者も交えて議論したいと思います。

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生物多様性データの利用と新分野への展開
21世紀の生物多様性研究ワークショップ(2018年/通算第13回)

ワークショップの趣旨

生物多様性情報の世界での進歩はめざましく、毎年様々な進展があります。 しかし、世界的な潮流として、さまざまなデータを収集・標準化して再利用することによって 知の拡大再生産につなげようという方向は一致しています。 そして、その方法の一つに「連携」があります。異なる分野と連携を進めることによって、 扱うデータに幅をもたせ、利用範囲を広げようとする試みです。 先にコペンハーゲンで行われた生物多様性情報に関する国際会議では、 生物多様性情報関係のプロジェクトやイニシアチブとの連携が話し合われ、 GBIF(地球規模生物多様性情報機構)が提案者の一つとなって、連携を模索することが合意されました。 一方、日本産標本の国内利用を目指したS-Net(サイエンスミュージアムネット)でも、 システム改良が図られ、インターフェイスが大幅に改良されると同時に、 いままでに扱えなかった化石データも扱えるようになりました。 今回のGBIFワークショップでは、このような新展開に関係した話題を集めてみました。

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生物多様性情報の標準化と利便性
21世紀の生物多様性研究ワークショップ(2017年/通算第12回)

ワークショップの趣旨

生物多様性情報を共有するためにはどんな情報を標準化するか、 また、情報の標準化のあり方には、他にどんなものがあるのか。 標準化によって、どんな便利なことがあるか考えてみましょう。

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つながる・ひろがる生物多様性情報
21世紀の生物多様性研究ワークショップ(2016年/通算第11回)

ワークショップの趣旨

GBIFは、世界中から生物多様性情報(分布情報・観察情報など)を集め、 だれでも利用できるように公開している機構です。 現在公開されているデータは、約6億件。 私たちはこれを時間軸や空間軸に沿って解析し、 分布や多様性の変化や種の分布範囲の検討などに用いることができます。 GBIFに集められたデータは主に野生生物のものですが、 カルチャーコレクションや系統などのデータも集積され、 将来的な資源探索への利用も考えられます。

また、生物多様性情報を扱うプロジェクトや研究の枠組みはGBIF以外にもあり、 GBIFのデータは他の生物多様性情報関係に関わる活動とも連携して利用されています。 このような連携や利用は今後ますます盛んになるものと予想されます。

GBIFの活動はナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)によってサポートされています。 NBRPは5年で1期としており、今年は第3期の最終年度にあたります。

本ワークショップでは、これを機にGBIFの活動を振り返り、次の期の展望を考えます。 日本からGBIFにどのようなデータが出ているのか、GBIFに集められたデータがどのように利用されるのかなど、 集められたデータの利用・活用に関して考えます。

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生物多様性情報をめぐる「文化」を考える
21世紀の生物多様性研究ワークショップ(2015年/通算第10回)

ワークショップの趣旨

昨年の本ワークショップでは、生物多様性情報の共有を理解する「文化」が課題となりました。 生物多様性情報学には様々なコミュニティが関わっており、それぞれがいろいろな文化や習慣を持っています。 そこで、多様性情報学に関わるいろいろなコミュニティの習慣や文化を互いに知ることを目的に、 本ワークショップを企画しました。 GBIF関係の多様性情報の分野では、情報のオープン化と共有は推奨されるべきという「文化」があります。 ほかのコミュニティにおける文化と比較することで見えてくるものを考えてみましょう。

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日本と世界の生物多様性情報学の現状と展望
21世紀の生物多様性研究ワークショップ(2014年/通算第9回)

ワークショップの趣旨

地球規模生物多様性情報機構(GBIF)が2012年に出版した「地球規模生物多様性情報概況(GBIO)」は、 世界の生物多様性情報学の現状を評価し、将来展望を議論した文書で 「地球規模生物多様性概況 (GBO)」と対をなす文書です。 この文書の翻訳をもとに、本書の内容をレビューするとともに、 日本における生物多様性情報学の現状と将来展望について考えます。

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